気功やヒーリング、手かざしなどの「気」を用いた手法だけでなく、整体の世界にも、卓越した技術を持つ整体師がいました。
興味深いエピソードが残されているので、ご紹介したいと思います。
近年、パソコンやスマートフォンの普及、食生活の変化、運動不足など、急激な生活環境の変化により、体調を崩している方も多いのではないでしょうか。
なかなか改善されずに悩んでいる方も少なくないと思います。
個人的な見解ですが、多くの場合、適切な手法が広く知られておらず、効果的なアプローチにたどり着いていないだけだと考えています。
このエピソードが、何らかのヒントを与えてくれるかもしれません。
革新的な手技を開発し全国に広めた
一般的な整体の手法では、筋肉を親指でもみほぐすようなアプローチが多いように思います。
人体の骨格や筋肉の配置は決まっているため、肩や腰のケアにおいても、ある程度定型的な手法があります。
しかし、この手法には欠点があります。
深部の筋肉までアプローチしようとすると、かなり強い力が必要になり、技術が未熟な場合、逆に筋肉の緊張を高めてしまうリスクがあるのです。
ところが、筋肉をもみほぐすことなく緩める技術を考案した整体師がいました。
さらに、近年注目されている筋膜の癒着を解消する技術も持っていたのです。
肩のケア一つをとっても複数の手法があり、体全体では数千種類にも及ぶといいます。
この施術家の素晴らしさは、誰が行っても一定の効果が得られる手法を確立したことです。
もちろん、創始者は卓越した才能の持ち主だったため、弟子たちよりもはるかに高い効果を出せたようですが。
最後は自身の健康を犠牲に
しかし、評判が広まるにつれ、多くの来院者が押し寄せ、自身の健康を損ねてしまったそうです。
来院者も少しでも楽になりたいという思いから必死だったのでしょう。
藁にもすがる思いで訪れる方々が後を絶たなかったのです。
整体の経験がない方にはわかりにくいかもしれませんが、整体は施術者の体を使う仕事です。
腰を痛めたり、手や指を酷使して腱鞘炎になったりすることもあります。
一日中施術を行えば、施術者の方が体調を崩してしまうこともあり得るのです。
この施術家が確立した手法は、従来の整体と比べると力を使わない技術でしたが、それでも一日中行えば、体に負担がかかります。
また、休みなく施術を続けると、整体室内の限られた範囲しか動けず、十分な運動ができません。
食事もゆっくり取れず、栄養バランスも崩れがちです。
結果として、最終的には歩行も困難になり、這って移動するほど健康を害してしまったそうです。
しかし、そのような状態でも来院者のケアを続けたといいます。
多くの弟子に卓越した技術が継承された
その整体師自身は既に亡くなっていますが、彼が確立した技術は現在も受け継がれています。
確かに整骨院や鍼灸院、マッサージ店などの増加により、本格的な技術を持つ整体院は影響を受けたようですが、それでも少数ながら存在しています。
普及に伴い形を変えつつも、真に価値ある技術だからこそ、途絶えることなく続いているのです。
技術自体も素晴らしかったでしょうが、最大の功績は、その技術を独占せず、日本全国に広めたことではないでしょうか。
それにより、多くの方々がその恩恵を受けることができたのです。
ちなみに、当院で使用している整体法もその創始者が確立した手法です。
多くの整体師がその創始者から学び、その技術をさらに人に伝えていく形で広まっていきました。
当院もその流れをくむ整体院の一つです。
これだけ多くの人を癒していますので、創始者も天国で喜ばれているのではないかと思っています。
現代はインターネットの時代です。
ネットを通じて、本物の技術や整体に関する有益な情報が広まっていくことを願っています。