自律神経失調症で、数年、数十年と苦しんでいる方が大勢いらっしゃいますが、それほど長期間治らないと、人生にも大きな影響を与える事があります。
最近は、結婚してもお子さんをもうけない方もいらっしゃいますが、今回は、自律神経失調症の症状が原因で、出産をあきらめた方の事例を紹介します。
10年前に自律神経失調症発症
10年前と聞いて驚かれる方も多いかもしれませんが、自律神経の乱れから来る不調に関しては、それほど特殊なケースでもありません。
40代の女性ですが、話を伺っていると、お子さんがいらっしゃらないという事でしたので、もともと子供を望まれてないのかとか、自律神経の乱れは、ホルモンバランスの乱れにもつながりますので、不妊症だったのかなどと思いましたが、体がきつかったので、子供を育てられないと思ったので作らなかったとのことでした。
10年前に、ゴルフ場で急に息苦しくなり、救急車で運ばれたのが始まりのようです。
熱中症ではなく、検査をしても特に異常なし。
しかし、次の日も会社で息苦しくなり、血の気が引く感じで、しゃべれず、動けなくなりました。
さらに次の日もベッドで同じようになったとのこと。
そのため、１年半休職しましたが、全く治らずに、仕事に戻ったという事です。
（薬物療法は対症療法、つまり、症状を抑えるだけのもので、根本的に治すものではないと言われていますが、この例を見れば、そのことが深く理解できると思います。）
復職してからの生活
一度体調を崩すと、すぐに元の生活に戻るという事はできませんので、一般的には、短時間から少しずつ仕事量を増やしていくという事をします。
この方の場合は、１週間に１回、１時間出勤から始め、１週間に２回といった具合に勤務時間を増やしていったという事でした。
パニックのような症状があり、エレベーターには乗れず、バスは乗ったり降りたりしながら、通勤したとのこと。
仕事中も脂汗をかきながら仕事をして、調子が悪くなると、障害者用トイレに行き、頓服（症状が出た時に飲む薬）を飲んで、じっと耐えていたとのことです。
（かなり大変な生活をされてきたのだろうと推察されますが、急には元の生活に戻れないことについて、整体的に解説させていただくと、体調を崩した時点で自然治癒力は低下していますから、負荷をかけるとまた症状が悪化する可能性があるわけです。これは、整体師だからこそ分かる視点です。）
少しずつ改善？
5~6年かけて、ほんの少しずつ状態は良くなってきているという事ですが、電車、飛行機、地下鉄は、不安がありいまだに乗る事が出来ない状態という事です。
また、これまでに3か月ほど治ったのではと思うような時期が2回くらいあったようですが、仕事が忙しくなるとまた症状がぶり返してしまったようです。
（これだけの期間をかけても症状は落ち着いていない事、一時的に落ち着いたとしても、また無理をすると症状がぶり返してしまう事からも、自然治癒力が低下している事がうかがわれると思います。しかし、ある程度悪化してしまうと、一時的に落ち着いてくるという事もなくなることがあります。症状が落ち着く時期があるだけ、状態は重症化していないと考えられます。）
出産をあきらめる
このようにして、きつい状態が何年も続いたため、結局は、子供を育てる自信がなく、作る事はあきらめてしまったということでした。
結婚されたときは、30代前半だったため、十分出産できる年齢でしたが、これだけ長期間不調が続けば、出産という人生の大きなイベントもあきらめざるを得なくなるということになると思います。
同じような人が、世の中にはごまんといらっしゃることを考えると、「日本の医療はこのままでいいの？」と疑問に思う方もいらっしゃるのではと思います。
自律神経失調症について、より詳しくお知りになりたい方は、自律神経失調症のまとめ記事をご覧ください。