高齢者がつまづく原因と間違った対処法について

つま先を触る高齢者


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年を取ってくると、つまずきやすくなり、転倒の危険性が高くなってしまう人もいるようです。

若い頃であれば、多少転んで怪我をしたところで、擦り傷くらいですぐに回復してしまうかもしれませんが、年を取ってきて自然治癒力も低下してくると、骨折し、そのまま寝たきりになるなど、転ぶだけでも命取りになる可能性があります。

ではなぜ、年を取ったときにつまずきやすくなってしまうのでしょうか?

 

つまずきやすくなる原因

 

足を上げる筋力の低下?

股関節の屈曲に関係する筋肉

様々な原因が考えられると思いますが、例えば、筋力の低下などはどうでしょうか?

足を上げる筋肉が低下している場合、少しの段差があっただけでも、足をしっかりと上げられずに、つまずいてしまう原因になると考えられるかもしれません。

また、つま先を上に上げるための筋肉が低下することなども、つまずきやすくなる原因となりうるでしょうか。

足全体を持ち上げたとしても、つま先が上に上がらなければ、段差で引っかかってしまうと考えられるかもしれません。

背屈と底屈

 

神経の伝達に問題がある

腰の神経

足を上げるという事に関して言えば、足が動くように、脳からの命令を伝えているのは神経ですから、この神経の伝達に支障が出れば、足を持ち上げる筋肉が十分に発達していても、足が上がらない事も起こると考えられます。

足へ向かう神経は、背骨から腰を通って足につながっていますから、腰に筋肉の緊張があったり、ヘルニアがあったり、脊柱管狭窄症などがあったりすると、脳からの命令がしっかりと伝わらず、足に力が入らないといったことが起こります。

そのため、腰の不調からもつまずきやすくなるということが起こりうるわけです。

 

ふくらはぎの筋肉の緊張

ふくらはぎの筋肉

もう一つ、つま先を上げる動作について考えてみます。

先ほど、つま先を上げる筋肉の低下が、つまずきやすくなる原因になるとお話しましたが、つま先を上げる筋肉があれば、つま先を下げる筋肉もあります。

これはふくらはぎの筋肉になります。

もし仮に、ふくらはぎの筋肉が緊張し、固まってしまっている場合、つま先を上に上げようとすれば、ふくらはぎの筋肉に引っ張られて、十分に上がらないという事が考えられると思います。

つまり、つま先を上に上げるための筋力の不足が原因ではなく、ふくらはぎの緊張が原因で、つま先が上に上がらないという事になります。

このことに関しては、気づいていない方もいらっしゃるのではないかと思います。

ではなぜ気づいていないかと言うと、単純なことで、改善が出来ないためです。

つまり、改善できないため、それが原因ということが分からないという事になります。

もしくは、改善できないため、そのようなことを問題視しても仕方ないということになると思います。

これが原因ですと患者さんに話をしたところで、「では、どうすれば良いのか?」と言われても、どうすることもできないという事になります。

 

筋肉が緊張しているのに筋トレはダメ!

足関節の底屈、背屈

筋力不足の方は、患者さんの努力次第で改善が可能ですから、よく、「筋力をつけなさい。」という話になりますが、筋力をつけることと、筋肉の緊張を取ることは真逆の事です。

何が言いたいのかと言うと、筋肉を緩めて、緊張を解くことが必要な患者さんに、筋力をつけるということを言えば、逆に悪化するということもあるわけです。

例えば先ほどの例ですが、つまずく原因として、つま先が上がらないということに着目するところまではいいですが、つま先が上がらない原因が、ふくらはぎの筋肉の緊張にあるにも関わらず、それを改善せずに、つま先を上げるトレーニングをしたとしたら、どうでしょうか?

ふくらはぎの緊張が取れないままで、つま先はいつまでたっても上がるようになることはないかもしれませんし、それどころか、ふくらはぎが固まっているにも関わらず、つま先を上げるトレーニングをする事で、今度はつま先を上げる作用のある筋肉まで固まってしまう可能性もあると思います。

つまり、良くするどころか悪化させてしまう可能性があるわけです。

 

きちんと改善させているところはほとんどない?

足の運動をするお年寄り

実は、筋肉の緊張を取ることなく筋力をつけようとする事は、様々な場所で行われているようです。

つまり、全く見当はずれの事をしている可能性もあるという事です。

レントゲンMRIなどの画像検査では、筋肉の緊張は写りませんので、なかなかその重要性に気づいている人がいないわけです。

適切な対処が出来ているでしょうか?