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起立性調節障害は、立ちくらみ、倦怠感、頭痛、吐き気などの症状が出る、自律神経の乱れからくる病気ですが、なかなか治らないために、皆さん色々なアドバイスを受けているようです。
その中の一つに、「塩分や水分をしっかりとりなさい。」と言うものがあるようですが、今回は、起立性調節障害は、塩分と水分を多く取る事で改善するのかについて考えてみたいと思います。
塩分と水分を取っても治らないが・・・
中学2年の起立性調節障害の女の子の話です。
中学1年の頃、朝起きると、顔にむくみが出て、倦怠感を感じるようになってきた。
初めの頃は、朝だけきつい感じがしたが、だんだんひどくなってきて、現在は午後もきつさを感じるようになってきたとのことです。
その他の症状としては、頭痛、立ちくらみ、耳鳴り、息苦しさ、腹痛、気力が出ないと言ったものがあるとのこと。
そのため、不登校になっていました。
小児科に行って検査をしたが、薬などは出ず、「塩分と水分をしっかり取りなさい。」と言われたようです。
しかし、親御さんとしては、「塩分はしっかりと取っているし、塩分を取ったからと言って治らないし。」と言って悩まれていたようです。
また、「気力が出ないのに、水を1.5L以上飲むのはしんどかった。」とのことです。
別の小児科にも行かれたようですが、結局、同様の事を言われたとのことでした。
入院しても治らずに塩をなめときゃ治る?
同じく、中学2年生の女の子ですが、中学1年の頃に発症し、立ちくらみ、頭痛、吐き気、腹痛、不眠、倦怠感などの症状があり、1か月ほど入院されたようですが、ほとんど何も治らずに、最終的に「塩化ナトリウムをなめときゃ治る。」と言われて終わったようです。
塩化ナトリウムという言い方をすれば、何やら効果のありそうなもののように聞こえますが、言い方を変えれば、単なる「塩」という事になります。
こちらの場合も、当然のごとく、特に改善されていたわけではありませんでした。
なぜ起立性調節障害に塩と水?
ところで、なぜ、起立性調節障害になると、皆さん口をそろえて、「塩分と水分をしっかりとりなさい。」と言われるようになるのでしょうか?
そもそも、起立性調節障害とは、文字通り、立った時に体の調節がうまくいかない病気の事であり、主に、立ちくらみなどの症状が起こる病気になります。
立ちくらみはなぜ起こるかと言えば、血圧が低いために、立ち上がった時に、十分に血液が脳に届かないためと言う事になります。
そこで、塩分や水分をしっかりとって、血圧を上げましょうという理屈になっているわけです。
根本的な原因は自律神経の乱れでは?
確かに理屈としては正しいように思われますが、もっと、本質的な原因を考えると、血圧は、自律神経によってコントロールされていますから、自律神経の乱れから、立ちくらみ、その他の症状が出ていると考えられるわけです。
ここで、自律神経についておさらいします。
自律神経は、交感神経と副交感神経からなりますが、図のように、交感神経が優位になれば、血圧は上昇し、副交感神経が優位になれば、血圧は下降します。
これらのバランスがうまく整えば、血圧も適切にコントロールされると考えられるわけですが、バランスが乱れれば、低血圧、立ちくらみなどの症状が現れる事になります。
であれば、自律神経が乱れたままで、塩や水をたくさん取ったところで、血圧が正常に戻るとは考えられるでしょうか?
さらに言えば、そもそも、起立性調節障害は、自律神経失調症の一種と言われているわけですから、自律神経を整える事が根本的な治療と言えるのではないでしょうか?
起立性調節障害は塩と水では治らないのでは?
結論としては、大方の予想通り、「起立性調節障害は塩や水では根本的には治らないのではないか。」という事になります。
もし、塩と水で治るとすれば、誰も、何年間も不登校になったりすることもないでしょうし、そもそも、起立性調節障害になる事などないと考えられるのではないでしょうか?
このような話をすれば、「確かにその通りだ。」と納得されるのではと思いますが、まだ、発症したばかりの人は、言われるがままに塩分や水分を多く取られているかもしれませんので、このような記事を書かせていただきました。
結局のところ、自律神経失調症に対して、これといった対処法がないために、様々なアドバイスがなされるのだろうと思います。
「起立性調節障害は、長くかかるものなのだ(何年もかかるものなのだ。)」という思い込み、先入観、固定観念を捨てて、起立性調節障害が何年も治らないことに疑問を感じてみませんか?
起立性調節障害について、より詳しい情報をお知りになりたい方は、起立性調節障害のまとめ記事をご覧ください。