「整体・整骨院は治せば治すほど儲からない?」──このタイトルを見て、「何馬鹿なことを言っているんだ、技術の高い整体師や整骨院の先生の方が、お客さんが集まるに決まっている」と思われる方も多いかもしれません。
ところが、実際の現場では必ずしもそうとは限らない現実があります。
本記事では、整体や整骨院を「技術」ではなく「経営」の視点から見て、なぜ“治せば儲からない”という逆説的な構造が生まれるのかを考えてみたいと思います。
ビジネスとしての整体・整骨院
このテーマを理解しやすいように、具体的な事例をご紹介します。
例えば、力仕事で腰を痛めた方が、ネット検索で整体院Aに通い始めました。そこは技術的にはあまり高くない整体・整骨院でしたが、週1回のペースで通い続け、なんとなく良くなった気がする…という状態で3年間通院。
3年 × 52週 = 約156回通院し、1回4,000円として総額624,000円になります。
ところが、痛みが悪化したため、別の高技術な整体・整骨院Bに変更。そこではわずか10回で症状が改善。4,000円 × 10回 = 40,000円。
この数字が示すのは、「技術が高い院ほど収入が安定しにくい」という皮肉な現実です。
なぜ技術の高い整体師・整骨院の先生が増えないのか?
「治す力があるほど、経営が不安定になる」。このパラドックスが現実にある以上、高額なセミナーや研修に投資して技術を磨こうという人は、自然と減っていきます。
かつては「早く良くなってもらいたい」という理想を掲げていた整体師・整骨院の先生も、今では生き残りのために通わせるスタイルに流れているのが現状かもしれません。
それでも整体師としてのやりがいとは
それでも、やはり一番のやりがいは「お客さんが元気になって喜んでくれること」ではないでしょうか。
経営面も大切ですが、「良くなりました」と言っていただける喜びは、お金では代えがたいものです。
技術が高いと通う頻度も減る
もちろん、すべての人が短期間で改善するわけではありません。慢性的な不調や高齢の方、生活習慣が乱れている方などは定期的なメンテナンスが必要です。
それでも、技術のある整体・整骨院であれば、通う頻度を減らしながら良い状態をキープすることが可能です。
良い整体・整骨院を見極めるために
整体や整骨院の技術力を見極めるのは難しいかもしれませんが、口コミや紹介、実際の体験などを通じて、自分に合った「本物」を探し当ててほしいと思います。
整体や整骨院を選ぶ力が高まれば、業界全体の質も自然と上がっていくはずです。